しでんのファクトリー(巻き舌)

平凡な家電製品の平凡な日記なんてなかった、いいね?割と身内ネタ多めです

第二話『博霊の巫女』

ながさん「た…高田さん!」
その名を聞いた全員が通話中のながさんへ視線を移した。
「高田…!?」「マジか…!」
「ジャパネットの人?」
「そりゃ『たかた』だ」
「てか繋がるんだな」
高田かどうかを直接確認できない外野からは、驚きやら何やらの声が聞こえてきた。
『ああそうだ、高田だ。
声の様子から察するに、そちらの全員は至って健康な様だね。』

そう言って大きなため息をついた高田の声は、安堵と少しの焦りを孕んでいた。
ながさん「はい、どうにか。
…ところで、一体どうしたんです?」
『あの時はずいぶん御世話になったからね。近くに用事があったから、そのついでにスズラン荘にでも寄っていこうと来た訳…なん…だが…』
珍しく高田が言葉につまる。
ながさん「…え?なんて言いました?」
『…』
大きく息を吸ったり吐いたりする音が聞こえた。
恐らく高田が深呼吸をしているのだろう。
『…居住棟がまるごと消えているんだ。』
やっぱりだった。
ながさん「…なんとなく予想はついてましたよ。何せ居住棟はまるごと俺達と一緒に移動してますしね。」
『そうなのかい?そういえば君達は今どこに…』
ながさん「それが…その…どこかの神社の境内に…。」
『え?』
ながさん「それも居住棟も丸ごとその境内に。」
『…そうか…分かった。神社、と言うことは君達は恐らく日本にいるわけだ。そこが何県か、というのは調べられないかな?』
ながさん「ええと…」

 

チェシャ「…ながさんいつまで話してるのかな?」
チェシャが小さく欠伸をしながら呟いた。
じゃぶ「そりゃ一大事な訳だし会話も長続きするさ。」
ゼク「にしても暇だな…お、終わったか。」

 

ながさん「はい、はい。分かりました。それじゃ後程」
ながさんが通話を切る。
それと同時に会話が入ってしまわないよう自主的に離れていた住人が駆け寄ってきた。
GAME「で、高田さんは何て?」
ながさん「とりあえず場所が把握できないと迎えに行きようが無いから、今いる場所がどこか調べて折り返して連絡してくれって。
特定次第部下を向かわせる、って事らしいよ」
マジハン「なるほど。」
スナイパーが使うような細身のライフルを持ちながら米国在住のマジックハンド、通称マジハンが相槌を打つ。
GAME「そんじゃさっそく調査開始としますか。
やっぱ人里に降りて聞き込みした方が…」
「あら、ずいぶん騒がしいと思ったらお客さん?その格好を見ると『外の世界』の人みたいね。」
突如神社側から聞こえた女性の声。
いつ後ろを取られたのかは分からないが、全員が一斉にその方向へ振り向いた。

 

「あ、驚かせちゃった?ごめんなさいね、そんな気は無かったんだけど」
その声の主と思われる女性は赤と白を基調とした、大きなリボンや肩の露出が目立つ衣装を纏っており、
見る人によっては所謂「コスプレ」と見られてもおかしくない派手さだった。
背丈や顔立ちから推測するに、自分達とそれほど歳は離れていないように思える。
二牙「…誰だ?アンタ。」
流石にこのまま硬直していても仕方がないと感じたのか、二牙が目の前に立っている女性に問いかけてみた。
「え?あぁ、そういえば自己紹介がまだだったわね。 私の名前は『博麗霊夢』、この『博麗神社』の巫女よ。
 
―――さて、ようこそ『幻想郷』へ。
 
歓迎するわ、団体さん。」
「「「えっ」」」
霊夢「えっ?」
…また二牙が『博麗霊夢』と名乗る女性に名前を聞く前に戻ってしまった。
その空気のままながさんが静かに携帯の着信履歴から高田を見つけ出すと、その高田の所をタップして耳元に携帯を寄せる。
ながさん「…もしもし、高田さん?」
『おお、流君。どこか分かったのかい?』
ながさん「ええ、分かりました。」
『で、どこなんだ?場所次第では僕が直々に迎えに行けるg』
ながさん「幻想郷、です」
『…は?』

 

二度目の高田とながさんの会議の後、「ふう…。」と一息ついてからながさんが携帯を再びポケットに突っ込む。
程なくして霊夢が近づいて訪ねてきた。
霊夢「…何か神妙な顔をしてたみたいだけど。
貴方達と、この長方形の建物に関係する話?」
ながさん「あ、はい。まぁ」
ながさんが説明しようとした矢先、ユキにながさんと霊夢の間に割り込む形で遮られる。
ユキ「ちょっと失礼。こういうのは僕の方が得意だ。任せてもらえないか?」
ながさん「あ、別に構わないけど?」
ユキ「悪いね。それじゃあ―。」
ユキは今までの経緯を説明し始めた。